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Life In Aomori

2017年6月25日記
 青森で暮らしてまだたったの4ヶ月ほどであるし、一番厳しい冬の時期も知らない。それでも敢えて今感じていることを率直に書くと、「ここに住めて良かった」ということだ。東京も横浜もそれぞれ素晴らしい土地であったことは言うまでもない。しかし、東京や横浜で暮らし始めたばかりの時には感じたことがない幸福感を感じている。その根源としてはっきりと感じるのは、「うまい空気がある」、「うまくて新鮮な食料がある」、「美しい景色がある」、ということだ。人にもよるのかもしれないが、そういう生命の根幹、あるいは動物としての感覚、ともいうべきものが人間の幸福感に影響を与えている、というのを自分自身では実感している。単に自分にとって大都会がどこか性に合っていなかったのかもしれないが。
 青森市は、北側の青森湾、南側の八甲田連峰に挟まれたロケーションで、共に近くに汚染源を持たない海から山からの風が絶えず吹き抜けている印象だ。洗濯物を外に干せばしばしば飛ばされそうになるが、代わりに非常に新鮮な空気が味わえる。毎朝、八甲田から流れ落ちた清い流れの川に沿って、新鮮な空気を味わいながら自転車で職場に向かう。川には水鳥たちが憩い、道の両側には季節の花々が咲く。背後には雄大な八甲田が望め、職場を過ぎて少し足を延ばせばすぐ海に出る。青森駅のすぐ裏手の海であっても、あるいは合浦公園の砂浜であっても、十分に海水の透明感が高い事がわかる。川沿いの道は、寂しいほど人が少ないわけではなく、かといって人が多すぎて辟易することは決してない。さらに、スーパーに行けば、大抵の食材、つまりは米、野菜、肉、そして魚介類、果物の全てにおいて青森県産の物が手に入る。流通に時間がかからない分、当然、新鮮でうまい。想像に難くないが、特に魚介類の鮮度は素晴らしい。県内には、日本海も太平洋も海峡も湾もある。スーパーで生きたホタテが売られているし、栗毛ガニという小さなカニが入ったパックを手に取ったら中のカニが動き始めて驚いた。これだけではない。活火山八甲田の裾野に位置するだけに、自宅から数キロ圏内に複数件の温泉施設もある。400円台で入浴でき、施設も広い。
 これらのことを素直に「恵まれている」と感じるのは、ここに暮らしてまだ4ヶ月だから、まだ慣れ切っていないからなのかもしれない。しかし、小都市ではなく県庁所在地でこの環境があることは間違いなく青森市の魅力だと思う。そして、これは単に生活環境として優れているということだけに留まらない。上記のように、風、温泉、食料に恵まれているということは、とりもなおさず風力、地熱、バイオマスというエネルギー源が豊富に存在していることを示しているのだ。いずれ、これらの自然エネルギーを有効活用する技術が発展すれば、この地はさらに「恵まれた」地になるはずだ。
 この時期、街には夕方になればねぶたに備えて練習する笛や太鼓の音がかすかに聞こえてくる。こういう季節感も素敵だ。間もなくねぶたの夏を迎え、紅葉の秋を過ぎれば、純白の雪が街を覆い尽くすことだろう。雪国で育ち、雪山も登る自分には雪は全く苦にならない。むしろ、近くの川に飛来するハクチョウをみたり、仕事上がりにナイターでスキーをすることを期待している。そして、いずれ雪が融け、桜が咲き…と四季が巡るのかと思うと楽しみは尽きない。
 雄大な津軽平野と岩木山を望む学都・城下町の弘前、産業都市であり、また漁港も活気に溢れ、酒場も賑やかな八戸、その他の青森県内の市町村もそれぞれの魅力がある土地である。この文章を読んで、他の地方に在住している方々には青森に興味を持ってもらい、青森出身ではあるけれども青森を離れてしまった方々には青森の魅力を再確認してもらい、訪ねてもらう、戻ってもらうことで、当ページが青森の活性化のささやかなる一助になれば幸甚だ。

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